Facebook、偽名を使うユーザーの調査を打ち切る

9月 27, 2012 Sophos Press Release

※この記事は本社サイト「Naked Security」掲載の記事を翻訳したものです※

by Lisa Vaas on September 26, 2012

Facebook は、サイト内で別名を使う友人を報告するようにユーザーに求める調査を打ち切りました。

Facebook のプライバシー侵害行為?

実名のプライバシーをめぐる騒動は、あるユーザーが Facebook によるこの調査のスクリーンショットをツイートしたことをきっかけに始まりました。Facebook はユーザーに対して友人のアカウント名、プロファイルの写真、および地域を提示し、その友人のユーザー名が実名であるかどうかを質問していました。

Facebook に友人が実名を使っているかどうかを聞かれたら、あなたならどう答えますか?

Facebook が TPM に認めたのは、数か月間にわたって友人のユーザー名に関する調査の実験を行っていたという内容でした。しかし調査の規模、期間、実施した国について、Facebook は TPM に明らかにしませんでした。

火曜日に私が Facebook の広報担当者から聞いたところによると、調査は限定的であり、すでに終了しているとのことです。この広報担当者は、調査データは匿名化され、また Facebook が調査データを用いて偽名アカウントを無効にするなどの特定の行動をとることはないと述べています。

この調査は限定的であり、Facebook はすでに調査を終了しています。Facebook では、製品とシステムの設計向上のため、ユーザーによる Facebook の利用とユーザー名使用の状況を常に注視しています。これらの調査では、集計データのみが分析に使用されます。回答内容によってユーザーのアカウントが影響を受けることは一切ありません。

ユーザーに対する理解の向上について、Facebook の広報担当者は TPM に次のように語っています。

これは、ユーザーをトラブルに巻き込むことを目的として行っているのではありません。強制的なアクションのために調査が使用されることはありません。基本的に、このモデルを使用することで、アカウントのタイプの分類方法について役立つ情報を得ることができます。表示されるユーザーはシステムによって選ばれているだけであり、特定のユーザーに関する質問が表示されたからといって、Facebook がこれらのユーザーを疑っているという意味ではありません。

ユーザーの回答は「Facebook のエコシステムに対する理解向上」に有用であると、広報担当者は述べています。

実名ポリシーは、オンラインコミュニティを構築する企業の間で盛んに使用されています。Google+ もその一例 (有名人でない限り) です。Google はさらに、YouTube でも 6 月 から同様のポリシーを開始しました。実名であれば、人々は節度をもって振る舞う、またはコミュニティの親密度が高まり安全な場所になるという前提が、このポリシーの根拠となっています。(もちろん、匿名性を保持する正規の理由があれば話は別です。)Facebook の実名ポリシーには、「Facebookは、ユーザー同士が実名を使って交流するコミュニティです。すべてのユーザーの方に、実名をご登録いただいています 」と記載されています。

さらに Facebook のサービス利用規約には、次のように記載されています。

「Facebookでは、利用者に実名および実在の情報を提供していただいています。これを維持するには、利用者の協力が必要です。… Facebookで虚偽の個人情報を提供したり、許可を得ることなく自分以外の人のアカウントを作成することはできません。」

「利用者がアカウントまたはFacebookページのユーザーネームまたは同様のIDを選択した場合、弊社は、適切であると考えられる場合 (利用者の実名と密接な関係がないユーザーネームについて、商標の所有者から申し立てがあった場合など) にそれを削除または撤回する権利を留保するものとします。」

Facebook の偽アカウントのインフォグラフィック では、実名ポリシーは実際に機能しているのでしょうか。

答えは「No」です。Facebook は、実名ポリシーを強制しているにもかかわらず、アカウントの 8.7% が偽名であることを認めています。つまり、世界中の 9 億 5,500 万ユーザーの内、8,310 万人が偽名を使用していることになります。

また、7 月に TechCrunch が報告したように、実名ポリシーによって悪質コメントによる荒らし行為を減らすことができないことは、韓国の事例にも示されています。

2007 年に韓国は、利用者が 10 万人を超えるすべての Web サイトで実名を使用するように、一時的な強制措置をとりました。しかし、言論の自由に反しており、また悪質行為対策として効果を上げていないことを理由として、7 月にこのポリシーは廃止されました。韓国の放送通信委員会の調査では、このポリシーによって悪質コメントは 0.9% しか減らなかったと結論づけられています。

このポリシーの施行に伴って、韓国のサイトが多くのハッカーのターゲットとなり、SK Communications が運営するポータルサイトの Nate とソーシャルサイトの Cyworld から 3,500 万件という膨大な実名データが流出しました。

カーネギーメロン大学の Daegon Cho 氏と Alessandro Acquisti 氏の調査では、実名ポリシーによってヘビーユーザーによる悪質コメントの頻度がかえって高くなったことが明らかになっています。

さらに、実名ポリシーによって多くの人々が被害を受ける可能性もあります。この問題は、Google+ をめぐって、別名の使用に関する Nymwars と呼ばれる論争で繰り返し議論されました。

The Geek Feminism Wiki では、実名ポリシーにより被害を被る人々のグループを監視しています。

このようなグループの一部の例を、次に示します。

  • 女性 女性であることを示唆するユーザー名を使用すると、男性に比べてオンラインでいやがらせを受ける頻度が最大で 25 倍も高くなります。
  • LGBT (レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー) の人々 特に、オンラインでいじめを経験する割合が 50% に上る十代の若者、および非差別政策をとっていない地域、または同性愛やトランスジェンダーの行動が違法となる地域に居住する人々。
  • 子ども 自己防衛のため、多くの場合オンラインでは別名を使用するように勧められます。
  • 家庭内暴力の被害を受けたことがある人々 加害者に見つからないようにする必要があります。
  • 宗教的信条、その欠如、または経験により危険な状態にある人々。
  • 活動家、告発者、職業上の別名を使用する人々。

これらのグループに含まれる多くの人々が、実名ポリシーによって被害を受ける可能性があります。

友人が友人らしく振る舞い、また被害を恐れず自己表現する権利を尊重することを願います。また、調査結果が適切に扱われるであろうという私たちの信頼に、Facebook も応えてくれでしょう。ただし、私と同じように考える人々であれば、4 番目の「I don't want to answer. (回答を拒否します。)」のボタンを選んだはずですが。